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月経異常(月経痛、月経困難症、月経不順)

2016年12月5日

月経とは、卵巣周期(通常25日~28日)に伴って起こる子宮内膜の出血です。下図のように月経周期は、間脳、下垂体前葉、卵巣系が数種類のホルモンを介してお互いに調整し合うものであり、この周期に伴い随伴症状が現れます。月経周期で妊娠が成立しないと子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外に排出されますが、その際にプロスタグランジンという痛みのもとが子宮を収縮させて下腹部痛や腹痛など、「月経痛」を生じさせます。

    月経周期に伴う体の変化


月経困難症・月経前緊張症

「月経困難症」では、通常の月経痛に比べて日常生活がつらいほどの強い痛みと、腰痛や頭痛、吐き気、下痢やめまいなどの全身症状を伴います。また、類似疾患として「月経前緊張症」と呼ばれるものがあり、困難症と同様の症状が月経3~10日前から始まり月経開始前に消失します。

月経困難症には、原因により機能性と器質性に分けられます。特に背景に病的な異常がない場合は、「機能性月経困難症」と言います。出産前で子宮頸管が非常に細かったり、体質的にプロスタグランジンの分泌が多い人などが強い痛みとして感じやすく、若い人の強い月経痛はほとんどこれにあてはまります。一般的に出産すると月経痛は軽くなります。また、精神不安定、神経症的傾向の強い場合や内分泌失調、自律神経失調なども月経困難症の原因の一つになります。

一方、何らかの疾患が原因となっている場合は、「器質性月経困難症」と言います。出産後の女性で、以前より月経痛や出血量が増したり、血の塊が出たり、月経前から痛みがある場合などは、子宮筋腫や子宮内膜症などが原因と考えられます。

鍼灸は機能性のものには著効を示し、何ヵ月かの治療で根治する場合も少なくありません。器質性のものでも対症療法として効果はありますので、鍼灸治療を行う価値はあります。

月経前緊張症は、下腹部の不快感、膨満感、疼痛、または腰痛などの主症状を初め、精神症状として怒りやすくイライラし、その他、頭重、頭痛、めまい、動悸、嘔気、胃痛、食欲不振、全身倦怠感、浮腫、不眠などの各種症状が現れます。これらは、月経困難症の自律神経障害の症状と重複するものであり、鍼灸治療の良い対象となります。


月経不順(月経周期の異常)

通常25日~28日の月経周期が、24日以内と短い場合は「頻発月経」と言います。この場合、排卵が起きていないための無排卵性出血のことが多いのです。出血と出血の間が2週間程度しかなく、かつ、出血期間が10日とか2週間と長く続く場合は、きちんと排卵が起きていないと考えられます。

月経が40日間隔と遅れがちな場合は稀発月経と呼びますが、その理由としては、排卵はあるものの、スムースに排卵していないことが多いのです。あるいは、月経と思っていた出血が実は排卵がない無排卵性出血ということもよくあります。

3ヵ月以上月経がない場合を無月経といいます。無月経の多くは、排卵がおこらないでホルモンの機能が低下、あるいは、ほとんど停止していることが多く、しかも、この無月経の状態を長期間(7ヵ月以上)放置しておくと、ホルモンの失調がますます強くなり、頑固なホルモン異常(排卵障害)になります。この場合は単に生理不順では済まされません。子供が欲しいと思った時に、姙娠しにくい体になってしまっています。

また、卵巣の機能が低下すると女性ホルモンの分泌も減少してしまいます。女性ホルモンのうちエストロゲンと呼ばれるものは、肌のハリ・ツヤと関係し、また血管壁を柔軟に保ったり、コレステロール値を下げると言った働きがあります。女性ホルモンの分泌が低下すると肌の調子が悪くなったり、老化が早まったり、更年期と同じような症状が出たりするのです。


月経不順(月経量の異常)

月経の出血量が異常に多く、また、血の塊が多く見られる場合は「過多月経」と考えられます。過多月経が続くと貧血を起こしやすいので注意が必要です。原因となる病気としては、子宮筋腫や子宮内膜症などがあげられます。この場合は、出血量が少しずつ増えたり月経痛や腰痛などを伴うケースが多く見られます。その他、無排卵性月経の場合も出血量が増加することがあります。

月経の出血量が異常に少ない場合は、「過少月経」と呼ばれます。同時に、月経期間が1~2日で終わる過短月経であるケースが多く見られます。原因としては、子宮の発育不全、子宮内膜の癒着など、子宮に異常のあることが考えられます。また、ホルモンの分泌異常による無排卵性月経や黄体機能不全の場合も、出血量が少なくなることがあります。基礎体温で高温期がなければ無排卵性月経、高温期が9日以内なら黄体機能不全である可能性が高くなります。

 

月経異常の鍼灸治療

月経異常の鍼灸治療は、自律神経系の調整を主目標として行います。月経異常に関する共通鍼灸治療として、腎兪、関元兪、関元、三陰交へ鍼と灸を併用して施術すると効果的です。月経困難症・月経前緊張症では、風池、肝兪、次膠、天枢、陰交などの経穴を使って施術するのが有効です。また、月経痛の鎮痛には三陰交の皮内鍼が著効を示します。

過少月経と稀発月経では、胞肓、帯脈、曲池への鍼、胞肓への灸が、過多月経と頻発月経では、行間への鍼、照海への灸が治療として選択されます。

2016年12月5日

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