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夜泣き・かんむし
2016年12月5日
小児は心身ともに未熟で、感受性が強く環境に左右されやすいので、授乳制限、強制断乳、排便排尿の無理なしつけ、あるいは家庭不和などが原因となって小児神経症が生じます。すなわち、精神的・身体的症状として現れる泣きやすい、驚きやすい、怒りやすい、指しゃぶり、偏食などです。
これらは小児神経症の一部症状であり、小児神経過敏、あるいは、小児の自律神経失調からくる神経異常興奮が原因と考えられています。この症状は、昔から「疳虫(かんむし)」とも呼ばれて来ました。疳虫の疳は東洋医学では五疳を指し、臓に応じて肝疳・心疳・脾疳・肺疳・腎疳に区別されます。わかりやすく言えば、子どもの体質によって例えば肝体質であれば、夜泣き、かんむし、噛みつきなどの神経症が出やすく、脾体質ですと、食欲低下、下痢、アトピーなどが主症状になります。その他、肺体質は風邪、扁桃腺、腎体質の場合はおねしょ、怖がりなどとなります。
小児鍼
小児鍼は大阪地方で主に発達してきました。今でも関西を中心に盛んに行われています。小児鍼は夜泣き、かんむしなどの愁訴に有効な治療法であり、主訴のほかにも「風邪をひきにくくなった、丈夫になった、元気になった、食欲が出た、よく眠るようになった」など、身体全体に良い変化がみられます。
小児鍼の対象となるのは主として5歳くらいまでの乳幼児であり、それ以上は軽度の一般的鍼灸治療が適用となることが多いので、小児専門の治療は10歳前後までです。
夜泣き・かんむしの鍼灸治療
小児への鍼治療は、専用の鍼を使い、30秒から長くとも10分程度の短時間で、皮膚を介して弱い刺激を与えることを主に行います。皮内には刺入せず、皮膚を軽くなぞって刺激したり、軽くとんとんとたたいたりするだけのものです。
① 体幹部の皮膚鍼
頸の直下から尻の上まで脊際に沿って上から下へ(膀胱経)
鎖骨の下から鼠径部まで上から下へ(胃経)
② 四肢の皮膚鍼
両側の前腕の親指側を肘から手首まで(肺経)
両側の下肢の内側を膝から足首まで(脾経)
③ 頭部の皮膚鍼
頭頂部とその前方の脇2箇所(神経過敏の状態を鎮静する)
④ 身柱の灸
小児の神経過敏に、江戸時代以前より「ちりげ(散気)の灸」として常用されていました。身柱:3番胸椎棘突起の下(肩甲骨間のほぼ中央)に灸をするもので、子どもの万病に効き健康に育つとされていました。
2016年12月5日
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