最新情報&ブログ

Latest information & blog

生殖・泌尿器

  • 排尿とは、腎臓で生成された尿が膀胱に貯まり(蓄尿)、それが一定以上貯まると尿意を感じて意志によって貯まった尿を排出する(排尿)という一連の過程のことを言います。この過程に問題が生じた場合を排尿異常と呼びます。排尿異常には以下のようなものが挙げられます。

     

    排尿痛

    多くは膀胱と尿道が該当する下部尿路の疾患が原因で生じるものです。尿路感染症により尿路、膀胱内に炎症が起き、それが痛みの原因となります。特に膀胱三角部と呼ばれる部分は感覚神経が豊富にあり痛みを感じやすくなっています。女性では膀胱炎、男性では前立腺炎がその代表的な疾患です。

     

    頻尿

    健常者の1日の尿量は1000~1500mLで、1回の尿量の平均は200~400mL程度です。また、排尿回数は4~8回が標準です。頻尿は日中覚醒時の排尿回数が8回以上のものを言い、夜間頻尿は夜間就眠中に覚醒しての排尿障害が2回以上のものを言います。頻尿の原因として最も頻度が高いのは急性膀胱炎で、主に細菌感染によって膀胱粘膜に炎症が起き、知覚過敏となって尿が少し貯まっただけで尿意を催すものです。

    その他、膀胱内部の癌や結石などにより膀胱容量が減少した場合に、あるいは前立腺肥大、尿路狭窄等により下部尿路が通過障害を起こすと排尿筋が肥厚して神経過敏になった場合に頻尿が起きます。排尿中枢やその神経の経路が傷害されて起きる神経因性膀胱、器質的には異常がなく神経質な人で起きる心因性頻尿があります。

    さらに、利尿剤は総尿量を増やすので頻尿となり、降圧剤など副交感神経遮断薬である抗コリン薬などは1回の排尿量が減り頻尿となります。

     

    尿失禁

    自分の意思によらず尿が漏れ出てしまう状態を言います。腹圧性尿失禁は高齢の多産婦に多く、くしゃみや咳などお腹に力が入ったときに尿が漏れ出てしまうものです。排尿中枢やその神経の経路が障害されて生じる神経因性膀胱で頻尿となりますが、尿意を催したときトイレが間に合わなければ尿失禁が起きます。

    脊髄損傷では上位中枢と下位中枢が両方とも傷害されるため、尿意が消失し反射性の膀胱収縮により頻尿となり尿失禁を起こした場合、反射性尿失禁と呼びます。大脳障害で抑制が効かなくなり失禁するものを運動性切迫性尿失禁、膀胱の知覚過敏で起きたものを知覚性切迫失禁と呼んでいます。

     

    排尿困難・尿閉

    尿意はあっても膀胱の尿をスムーズに排出できない状態を言います。前立腺肥大症や、前立腺癌、尿道結石など尿道の狭窄で排尿困難が起き、病状が進行すると閉塞されてしまうため尿閉となります。

    また、排尿中枢やその神経の経路の障害による神経因性膀胱でも意志による排尿が困難となり、排尿困難となります。糖尿病になると末梢神経障害により尿意が起こりにくくなり、排尿筋の収縮も弱くなるため排尿障害が起きます。

     

    膀胱炎

    急性膀胱炎は、疲労などで免疫力が低下しているようなときに、多くは大腸菌、次にブドウ球菌の感染により起きます。抗生剤で炎症が治まれば鍼灸の対象になります。また、急性からから移行して慢性膀胱炎となったり、ウィルスが原因と言われる無菌性の膀胱炎もあり、いずれも鍼灸のよい適用となります。

     

    前立腺肥大症

    前立腺は、男性だけにあるホルモン生殖器官で、膀胱の出口にあって尿道が中心を通っており、精液の一部である前立腺液を分泌しているところです。この前立腺の肥大は加齢に伴って自然に起こると言われており、60歳以上の7割で見られます。前立腺の肥大が尿道を圧迫すると、尿の出や勢いが悪くなったり、残尿感、頻尿などの排尿障害が起こります。合併症として、尿路感染症を起こす危険性が高くなり、そのまま放置していると腎臓にも影響が及び、腎不全を起こす事もあります。

     

     

     

    排尿異常の鍼灸治療

    共通鍼灸治療: 腎兪・膀胱兪・曲骨

    鍼のみ、灸のみでも効果はありますが、併用治療が一層有効です。

     

    頻尿・排尿痛・尿失禁

    鍼: 関元・陰谷・崑崙

    灸: 命門・崑崙

    排尿障害は腎経、肝経の治療、頻尿・尿失禁は腎経と膀胱経を補う治療を行います。

     

    排尿困難・尿閉

    鍼: 委陽・行間

    灸: 曲泉・陽陵泉

    尿閉などの障害に対しては肝・胆経の治療を中心に腎経を補助的に使います。

     

    排尿異常の療養

    刺激性の食べ物、不消化のものは避けて、便秘に向かないように注意します。過労を避けて安静にし、下腹部を温めます。