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2018年11月
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めまいの種類
めまいには、回転性めまいと非回転性めまいとがあります。回転性めまいは、自分自身や周囲がグルグル回るようなめまいを言います。一方、非回転性めまいには身体がグラグラ揺れる動揺性めまい、フワフワするような浮動性めまい、立ちくらみ等があります。
めまいの原因
めまいを引き起こすものには、耳に原因があるもの(前庭系・蝸牛【内耳】系)、脳の中に原因があるもの(中枢系)、それ以外に原因があるものに大きく分けられます。
1.耳の病気によるめまい
1)良性発作性頭位めまい症
起き上がった時や振り向いたときなど、頭の位置を変えた時だけに起きるめまいで、頭を動かさずに安静にしていれば徐々に改善し、1分以上持続することはありません。また、耳鳴りや難聴になることもありません。安静にしているより運動する方が良いです。耳石の一部が半規管の中に入り込むのが原因の障害です。
2)メニエール病
内耳が内リンパ水腫と呼ばれる状態になるために起きる病気です。激しい耳鳴りと回転性めまいが突然出現し、突然同時に止まることを繰り返し、多くは難聴や耳閉塞感を伴います。10分から数時間続きますが何日も持続することはありません。
3)突発性難聴
突然に片方の耳(まれに両側の場合も)が聞こえなくなり、その後延々と数週間続きます。この点がメニエール病と異なります。突発性難聴では半数が回転性めまいを伴います。
4)前庭神経炎
風邪を引いたような上気道炎の前兆があり、強い回転性めまいが突然出現し、数時間から数日続くことがあります。耳から脳に続く前庭神経が炎症を起こしている状態で、末梢性めまいとも呼ばれています。数週間後にめまいは治ります。安静が治癒を促進します。
2.脳が原因のめまい
めまいを起こす病気で生命の危険を伴う注意すべき疾患があります。嘔吐・眼振・頭痛を伴う口唇の痺れ・2ヵ月以上の原因不明のめまい・一定方向の頭位で発症等が見られる場合は、直ぐに専門医で診断を受けるべきであり、鍼灸治療の対象ではありません。高齢者や心疾患・糖尿病・高脂血症などの合併症を持っている方は、特に注意が必要になります。
生命の危険があり注意が必要なめまい・・・脳血管障害・脳腫瘍
脳血管障害のめまいには、脳の血管がつまる脳梗塞と血管が破れてしまう脳出血・くも膜下出血があります。脳血管疾患以外のめまいには脳腫瘍が原因のこともあります。脳の中で平衡感覚の中枢は脳幹・小脳ですが、この近辺での出血・梗塞・腫瘍によりめまいを生じます。特に脳幹に近い部位での障害は即、生命の危険が生じます。血圧が急に上昇したり、突然片側の手足に力が入らなくなったり、片側の顔の動きが悪くなったり、ろれつが回らなくなったりします。激しい頭痛をともなうこともあります。そのほか物が二重に見えたり、顔や手足の感覚がにぶくなったり、耳が聞こえにくくなったり、まっすぐ歩けなくなったりします。
3.耳や脳以外が原因のめまい
めまいは耳や脳以外の原因で起こることがあります。
1)血圧の異常
めまいは、低血圧でも高血圧でも起こる可能性があり、起立性低血圧では立ちくらみを生じます。また、高血圧でも場合によってはめまいの原因となります。
2)貧血
貧血は、食事の偏りや妊娠・出産・生理を原因としておこります。全身の不調に加え、めまいをともなうことがあります。貧血では全身倦怠感、疲労感、動悸、息切れがみられます。高齢者の脳貧血は脳梗塞につながるため注意が必要です。
3)自律神経失調症
自律神経のバランスが崩れると、冷えやのぼせ、動悸など全身症状が起こります。この時、耳鳴りやめまいが出現することがあります。また、自律神経は血圧の調整に関わっているため、低血圧=脳貧血となります。
4)更年期障害
更年期にホルモン分泌が変化し、そのために全身の症状が出現します。症状としては、肩こり、疲労感、頭痛、のぼせや発汗が多く、めまいをともなうこともあります。
めまいの鍼灸治療
共通治療として、内耳・前庭につながる側頭骨の経穴を使います。いずれの経穴も耳後から耳中、耳中から耳前を通り眼に至る経路であり、平衡障害の治療に最適な位置にあります。さらに前庭と半規管の血流を盛んにし、内リンパの調整にも欠かせない経穴です。
鍼灸: 翳風、完骨
以下のように、めまいの病症に合わせた治療を追加するとなお効果的です。
1)前庭系(肝経症状)・・・めまいが主症状
鍼: 風池、肝兪、肩井(曲泉)
2)蝸牛【内耳】系・・・耳鳴り・難聴・耳閉感が著明に表れるもの
鍼: 耳門、天柱、内関(外関)
脾兪、中脘・・・ 消化器系の症状が出る場合
3)中枢系・・・浮動性めまい、絞扼感、頭の鈍痛を伴うもの、自律神経失調も含まれる
鍼: 上天柱、大杼、肺兪、腎兪、復溜、曲池
4)項背痛(肩こり)
鍼: 頚百労、肩井、肩外兪、大杼、肺兪
5)乗り物酔い(加速度病)予防
灸: 足三里、中央厲兌
療養指示
めまいの予防では安静と睡眠を充分とるようにし、睡眠不足にならないよう生活リズムを整え、嗜好品に注意する必要があります。精神的ストレスや過労により自律神経失調症を起こしてしまうと、めまいの原因や悪化するきっかけとなります。肩こり、胃腸障害、感冒なども発症の要因となりやすいので、不摂生をしないような養生が必要です。