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  • 高血圧の90%以上は、明確な原因が不明の本態性高血圧症です。しかし、生活習慣と遺伝的な体質が関係しているとことは解明されています。 高血圧は、原因により「一次性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。特に明らかな異常がないのに血圧が高くなるのを、「一次性高血圧」、または「本態性高血圧」と呼ばれ、食塩の過剰摂取、加齢による血管の老化、ストレス、過労、運動不足、肥満、そして遺伝的要因などがあげられています。一方、 「二次性高血圧」は、腎臓病やホルモン異常など、原因となる病気があるものを言います。こちらは、原因となる病気が治ると、高血圧も改善します。

     

    血圧を上げる要因

    ① 肥満

    肥満になると、酸素消費量の増加に伴う、心拍出量、循環血液量の増加で血圧が上がります。つねに体重をコントロールすることが大事です。

    ② ストレス

    仕事や心配事によるストレスや過労、そして睡眠不足は、血圧を上げる大きな要因です。趣味に熱中したり、スポーツで気持ちのよい汗を流したり、十分な睡眠をとったり…つねに心と体のリフレッシュを心がけましょう。

    ③ 喫煙

    末梢血管の収縮で血圧が上がります。また、タバコは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の危険因子。禁煙をおすすめします。

    ④ 塩分の過剰摂取

    なぜ塩分の過剰な摂取が問題なのでしょうか? 塩分(ナトリウム)をとりすぎると、血液中の塩分濃度が上がらないように、水分で薄める作用が働きます。そのため体内の水分が多くなり、血液の全体量が増大し、血圧が上昇するのです。血圧が上昇すると腎臓から水と塩分が効率的に排泄されるようになります。

    ⑤ 遺伝的な要因

    一次性高血圧には、遺伝的な要因が関係しています。両親とも高血圧の場合、高血圧になる素因を子供が持つ確率は70%、親のどちらかが高血圧の場合は30~60%、両親のどちらも高血圧でない場合でも、4~30%という調査結果が出ています。これは、あくまで高血圧になりやすい遺伝的因子の割合で、生活習慣に注意することによって発症しないケースもあります。遺伝との関係を知り、生活習慣に気をつけることは高血圧の予防につながります。

     

    高血圧の鍼灸治療

    高血圧は長年月の間に脳、心、腎などに障害を引き起こし、やがては生命に危険を及ぼす病態に進行する可能性を持っています。鍼灸により血圧の適正なコントロールが継続できれば、鍼灸が個体の回復力を元にしていることから、高血圧と動脈硬化の相互的な悪循環を絶つ効用と、医原病を生じる二次的な副作用を封じられることも期待でき、推奨できる療法であると言えます。

     

    鍼: 曲池、足三里、懸鐘、洞刺注1)、兪刺注2)

    注1)   洞刺: ほぼ人迎穴に相当。頸動脈洞部に刺鍼し血圧調整に影響を与えようとするもので、臨床的に降圧効果が認められています。最大血圧の低下に効果的

    注2)   兪刺: 膈兪、八兪、肝兪、胆兪、脾兪、胃兪の左右6穴ずつに施鍼し、交感神経幹への間接的刺激をおこなうものです。最低血圧の低下に効果的

     

    灸: 曲池、足三里、懸鐘

    補助灸: 肩井、肝兪

    米粒大のもぐさで5~7壮施灸します。

     

     

    療養指示

    高血圧症と脳血管障害による死亡率とは相関関係にあり、食事、環境に充分注意を払う必要があります。

    冬は寒さの影響で血圧の変動が大きく、血圧の管理が難しい季節です。特に、起床時や入浴時には、注意が必要です。起床時に部屋が寒いと、急激に血圧が上昇しがちです。少し前からエアコンのタイマー設定などで、部屋を暖めるようにしましょう。入浴時には、脱衣所や浴室の寒さによる血圧上昇、入浴による血圧低下など、変動が大きくなりがちです。脱衣所は小型の暖房器具で、浴室は入るまえにシャワーを1〜2分流すなどの方法で暖めておくと、血管への負担が少なくなります。

    夏は、血圧にはあまり影響がないと思われるかもしれません。ところが脳梗塞が最も多いのは、実は夏なのです。その原因は水分不足にあります。血圧が高めで、動脈硬化を起こしていると、水分不足から血管が詰まりやすい状態になりやすいので、特に注意が必要です。夏には意識的に早めに水分を補給し、家庭血圧の測定などで血圧の変動にも注意しましょう。

     

    食生活を見直す

    日食生活の中でまず見直したいのが塩分の摂取量です。減塩による降圧効果には個人差がありますが、世界的にみても日本人は塩分をとりすぎている傾向があるので、まず減塩を心がけることが大切です。日本高血圧学会のガイドラインでは、1日当たりの塩分(食塩)摂取量の目標を「6g未満」と設定していますが、同時に「より少なくすることが理想」ともしています。これは、欧米ではすでに理想的な摂取量を「3.8g」とするガイドラインが示されているためです。また、最近、高血圧が急増している中国での調査で、「メタボリックシンドロームの人ほど塩分の影響を受けやすい」というデータもみられます。高血圧に加え、肥満や高血糖などの症状がある人は、十分な注意が必要です。

     

    減塩のコツとして、以下のようなことが上げられます。

    揚げ物や焼肉などは、しょうゆやソースでなく、レモンやユズ、こしょう、ごまで食べる。

    天然だし(昆布、シイタケなど)をしっかりとり、しょうゆや塩を減らす。

    ラーメンやそば、うどんの汁は半分くらい残す。

    寿司につけるしょうゆの量は少しにする。

    薄味に少しずつ慣れるようにする。

     

    血圧を調節する成分に、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがあります。

    カリウムには、腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。マグネシウムは、その働きを助けます。カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類などに多く含まれています。中でも野菜類や海藻類はカロリーが低く、メタボリックシンドロームの人にもいいので、しっかり食べることが大切です。

    マグネシウムは、海藻やナッツ類、豆類などに含まれています。野菜サラダに豆やナッツを入れるのもいい方法です。ただし、血糖値が高い人は果糖の多い果物は控えめに。また腎臓病の場合には、カリウムのとりすぎで悪化することもあるので、注意が必要です。

    また、カルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンやプロビタミンDが分泌され、これが心臓や血管を収縮させて血圧が上昇します。高血圧になりやすい人には、カルシウムの吸収や調節の機能がよくない人も多いので、カルシウム不足にならないように心がけることが大切です。カルシウムの吸収率が高いのは牛乳や小魚類です。日本人の食生活では、カルシウムが不足しがちなので、意識的にきちんととることが大切です。また、マグネシウムは、カルシウムの吸収を助けるので、ナッツ類や豆類なども一緒にとりましょう。

     

    高血圧と生活習慣

    高血圧は典型的な生活習慣病なので、その要因となる運動不足やアルコールの取り過ぎなどを見直してみましょう。適度の運動には、高血圧を改善する効果があります。さまざまな調査・研究から、運動によって私たちの体内では次のような作用が活発になり、相乗的に血圧を下げる効果がみられることがわかっています。

    ・ 交感神経の働きが低下して血管が拡張し、血圧が下がる。

    インスリンの働きがよくなり、相対的に分泌量が減り、インスリンのもつ血圧上昇機能が弱まる。

    利尿作用が活発になり、体液量が低下し、血圧が下がる。

    アルコールは一時的には血流をよくし、血圧を下げる効果もみられます。しかし、飲みすぎると反対に血圧を上げます。飲みすぎの状態が続くと、心疾患のリスクが急速に高くなります。一般的に健康の目安となる適量は、男性で日本酒1合、ビールなら中ビン1本、焼酎なら半合弱とされています(女性は半分〜3分の2程度)。

    喫煙は一時的に血圧を上昇させます。さらに、動脈硬化を促進し心筋梗塞や脳卒中の原因となることがわかっています。さらに、メタボリックシンドロームの重要な危険因子でもあります。それだけに「血圧が高め」の人は節煙するか、できれば禁煙をする方がいいでしょう。

     

     

     

  • 血圧が正常範囲より低い状態が継続していて、頭痛、倦怠感、めまい感などを愁訴とするとき低血圧症と呼びます。ただ、血圧が低いだけでそれによって不快な症状をもたらさないものや、臓器循環の障害を伴わないものは体質性低血圧と呼び、治療対象にはなりません。治療対象になる低血圧症は以下のようなものです。

    ① 症候性低血圧症

    血管系の疾患として心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋炎、心嚢炎、発作性頻脈症などがあり、呼吸系疾患では肺結核、肺気腫、気管支喘息があります。消化器系疾患では胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、胃癌、肝硬変などによる栄養失調でみられます。内分泌系疾患ではアジソン病、粘液水腫、重症の糖尿病などによる副腎機能低下でみられます。これらのうち一部は鍼灸治療の対象になりますが、急性の虚脱やショック症状がある低血圧症の場合は禁忌となります。

    ② 本態性低血圧症

    原因の明確でない低血圧症のことで、女性に頻度が高く鍼灸治療の対象になります。

    ③ 起立性低血圧症

    起立時に血圧の降下を起こすもので、自律神経系の異常が想定されます。

     

    低血圧症の鍼灸治療

    生体は適切な経絡・経穴に刺激を受けると、自分自身を本来の正常な生理状態に戻そうとする機能があります。そういう意味では高血圧症でも、低血圧症でも病んでいるところを改善するという治療方針は共通のものです。例えば冷え症の治療や消化器系の機能改善の治療と同時に低血圧症の治療が可能となります。

     

    鍼: 天柱、膈兪、腎兪、中脘、関元、三陰交

    灸: 天柱、腎兪、関元、三陰交

    鍼灸併用も有効で、冷え症の治療ともども推奨されます。

     

    冷え症の症状が強い場合は以下の治療穴を追加します。

    鍼: 次膠、陰谷、復溜

    灸: 太谿(米粒大にて10~15壮)

     

    頭痛・頭重を伴う場合

    鍼: 百会、風池、大杼、身柱

    灸: 風池

     

    めまいを伴う場合

    鍼灸: 完骨

     

    食欲不振・胃部膨満

    鍼灸: 脾兪、胃倉、梁門、足三里

    圧痛の顕著な穴には灸を追加します。

     

    喘鳴・咳嗽

    鍼: 肺兪、心兪、中府

    細鍼で弱刺激で行います。

     

    月経不順・性欲減退

    鍼: 肝兪、関元兪、復溜

     

    療養指示

    食事時間や量、睡眠時間などにおいて規則正しい生活基準を守ることが重要です。適度な歩行、体操などの運動を行い、乾布摩擦など皮膚の鍛錬、血流の改善を計ります。

    低血圧症は季節の変わり目に不調を起こしやすいものですが、早朝起床時に調整機能が働かないため、ゆっくり起き上がる習慣とめまいを起こしたときは一度横になり、そこからゆっくり起きる練習をします。

    食事についてはバランスの取れたものを摂取し、偏食は避けるように注意してください。ビタミンの補給も重要で、食塩は多少多めが良いでしょう。

     

     

     

     

     

     

  • 痔とは、肛門及び肛門周辺に生じる病気の総称です。特に、直腸や肛門などの粘膜の静脈が刺激されることにより発生するものを指すことが多いようです。痛みや出血などの症状があり、またそのせいで座ることや歩くことが困難になる場合もあります。

    日本人の痔の比率は高く、ある製薬メーカーの調査によると成人の3人に1人が痔持ちだとも言われています。男女比では、痔の種類にもよりますが、男性よりも女性に多いようです。痔を放置すると症状が悪化し、場合によっては大腸がんなどの重大な病気になる場合もあります。

     

    肛門の構造

    肛門は直腸から続く長さ約3㎝ほどの器官で、正確には肛門管と言います。食べ物の残滓を排泄し、便やガスの排出をコントロールします。内部を見ると、肛門管の粘膜下には直腸静脈叢があり、内壁は歯状線を境に粘膜(直腸)と皮膚(肛門)に分かれます。粘膜で覆われた直腸部分は、自律神経に支配されていて痛みなどの感覚はありませんが、肛門部分は皮膚と同じ脊髄神経に支配されているので痛みを感じます。そのため、歯状線より上の直腸部分にできる内痔核はあまり痛みませんが、歯状線より下の肛門部分にできる外痔核は痛みをより多く感じます。

    肛門の外側は内肛門括約筋、外肛門括約筋という筋肉に取り囲まれています。外肛門括約筋は、自分の意思でコントロールすることができます。排便が可能であれば、外肛門括約筋の収縮が解かれ、排便がおこります。これを「随意性排便」といいます。排便時は自力で外肛門括約筋をゆるめるとともに、いきむことで腹圧を高めて便を直腸から押し出します。外肛門括約筋は、自分の意思でゆるめようとしない限り収縮しているので、すぐに排便しないような状況下では、便意をこらえることができます。

    一方、内肛門括約筋は、不随意筋で下腹神経(交感神経)と骨盤神経(副交感神経)の支配を受け、睡眠中などの無意識下でも自動的に収縮して肛門を閉じています。

     

    痔の原因

    排便異常

    痔のほとんどは便秘や下痢がきっかけです。便秘のときの便は硬くなります。この硬い便を無理やり出そうとして強く力むと、肛門の皮膚が切れる裂肛やうっ血を起こしてイボができる痔核の原因になります。また下痢が原因になることも多く、勢いよく出る便や排便の回数が増えることで痔を悪化させたり、細菌に感染して痔ろうを引き起こすことがあります。

    同じ姿勢を続けたり、力むことの多い仕事

    クルマのドライバーやパソコン作業のデスクワークのように、座ったままでいるような仕事はお尻に負担がかかります。また美容師や販売員、板前のように立ったままの仕事も腹圧をかけることが多く、お尻がうっ血しやすくなります。重いものを持ち上げたり、運ぶような仕事も同様で注意が必要です。

    食べすぎ飲みすぎ、刺激物のとりすぎ

    酒の飲みすぎは下痢を招きやすくするとともに、生活のリズムも乱します。食べすぎや偏食はもちろん、刺激の強い香辛料のとりすぎも肛門部のうっ血の原因となり、痔を誘発することになります。

    運動不足や冷え、ストレスによる血行不良や肛門部の不潔

    運動不足や冷えは下腹部の血行不良を招き、肛門に負担をかけます。また、ストレスによって自律神経が乱れることでも肛門の血行不良が起こり、痔にななりやすかったり、悪化させることがあります。また、肛門部を不潔にしていると、肛門に炎症が起こりやすくなり、痔を誘発することがあります。

    妊娠や出産による肛門の圧迫

    妊娠によって子宮が大きくなると、肛門の圧迫や骨盤内のうっ血によって血行が悪くなり痔の原因になります。さらに出産の際にも強く力むので、痔を発生させたり悪化させたりすることになります。

     

    痔の種類と症状

    痔核(イボ痔)

    男性に多い症候です。肛門と直腸の境界周辺の粘膜の下は血管が密集して直腸静脈叢となっていますが、その血管がうっ血を起こし、それが膨らんでイボ状の塊になるのが痔核です。この塊が直腸の内側にできるのが内痔核で、痛みを感じることは少なく、排便時に大量の血が出ることもあります。そして肛門の外側にできるのが外痔核です。ある日突然、しこりのような塊ができて激しい痛みを伴います。

    裂肛(切れ痔、裂け痔)

    女性に多く、便秘症のいきみと硬い便との摩擦で肛門内部が傷つき、それが続くと傷が深くなって強い痛みと出血を引き起こします。排便のたびに激しく痛むために、排便を我慢し便秘となって再び肛門を傷つけるという悪循環に陥りがちです。過半数は内痔核と合併します。

    痔ろう(穴痔)

    主に下痢が原因となって直腸から肛門の周囲の粘膜に傷がつき、大腸菌などの細菌が侵入して、炎症が起こり、膿が溜まります。この肛門周囲膿瘍を放置していると、膿が自然に皮膚を破って外に流れだします。この膿が流れ出た通り道が肛門の周りに残るのが痔ろうです。肛門周囲の腫脹と共に灼熱感や痛みを感じます。また高熱や寒気、吐き気などの症状をともない、ときには40℃以上の高熱になることもあります。

     

    痔の鍼灸治療

    痔疾患には鍼よりも灸が適しています。

    灸鍼: 下膠、大腸兪

    下膠に灸すると刺すような熱感がありますが、痔核の治療には効果が得られます。大腸兪は補助穴として有効です。この両方を施灸することで相乗効果が得られます。鎮痛の目的で鍼を使用するのも良いのですが、鍼のみの効果としては灸に及ばないので、灸鍼併用が勧められます。

     

    疼痛: 痔核または裂肛で痛みの激しいときは以下の経穴を使用します。

    : 百会

    : 上巨虚、三陰交

    百会への施灸は、30壮でも50壮でも痛みが治まるまで続けます。

     

    出血: 出血量が多い痔症候には次の鍼灸を施します。

    : 孔最、上巨虚

    : 復溜

     

    療養指示

    痔の治療と予防には、生活習慣を改善することが重要です。まず食生活では、痔の最大の原因である便秘を避けるために食物繊維を摂取することを心がけます。逆に下痢も痔を悪化させるため、アルコールや香辛料などの刺激物を控えることが重要です。その他にも、トイレで力みすぎない、入浴で肛門を温めて血流を良くする、疲労やストレスをためすぎないなどがあげられます。

    排便のリズムをつくる

    便秘は痔の一番の原因です。とくに朝は便意を感じやすい時間帯ですが、このときに支度が忙しくて便意を我慢するような生活をしていては便秘を招きます。定期的な排便習慣を保つライフスタイルを確立しましょう。

    食生活を改善する

    朝食を抜くと、痔の大きな原因である便秘になりやすくなります。しっかり朝食をとれば胃が動き出し、大腸も活動しますので、毎日排便のある生活ができます。食事は食物繊維を意識しましょう。食物繊維は消化されず、大腸の運動を刺激して、排便をスムーズにします。暴飲暴食や多量のアルコールは下痢の元になりますので、控えるようにしましょう。

    同じ姿勢を長く続けない

    痔の予防には同じ姿勢を長時間続けないことが大事です。座りっぱなし、立ちっぱなしのときは、少しでも休憩タイムを作って体を伸ばしたり、肩を上下、足の屈伸などを心がけましょう。座ったまま動けないようなときは、ちょっと腰を浮かせてみるだけでも、お尻にかかる体重から解放され血行が戻ります。

    腰周りを冷やさない

    痔を助長する原因の一つに冷えがあります。冷えは血行を悪くして肛門部のうっ血を促すので、肛門の大敵です。とくに女性は下半身を冷やすような服装と冷房による冷えにも注意が必要です。

    適度な運動とストレスの解消を心がける

    運動不足やストレスは、肛門部の血行不良を招くことがあります。軽い運動を習慣にしましょう。とくに、便秘の解消にも効果的な腹筋運動がおすすめです。また、平日は読書やテレビ観賞、お風呂など手軽にできることで、休日は外出などで気分転換を図って日々のストレスを溜めこまない工夫をしてみましょう。

    温水洗浄便座を使う

    排便後、トイレットペーパーで拭いただけでは、肛門部の便はなかなか取り除けません。また、トイレットペーパーで強く拭くことで肛門の皮膚を傷つけることもあります。温水洗浄便座をぜひ活用しましょう。

    痔疾患を悪化させないためのケアをする

    日常生活のポイントは便秘を改善することです。排便のときの痛みを考えると躊躇しがちですが、便意があったらすぐにトイレに行き、5分以上力まない習慣をつけましょう。排便後も痛みが消えないときは、楽な姿勢で肛門を中心に温めると痛みが緩和されます。

    症状が緩和したら日常生活に適度な運動を取り入れることです。また買物などでもクルマやエスカレーター、エレベーターをなるべく使わないで歩き、体を積極的に動かす習慣をつけることが大切です。またできる限り毎日入浴か座浴で肛門の清潔を保ち、血行を良くしておくと効果的です。

     

     

     

  • 円形脱毛症の原因

    円形脱毛症の原因については、様々な説が提唱されていますが、近年では、「自己免疫疾患」という免疫機能の異常を原因とする説が有力です。さらに誘因として、疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレスや、遺伝的・体質的な素因が加わります。

    自己免疫疾患
    「自己免疫疾患」とは、外部からの侵入物を攻撃することで私たちの体を守ってくれている免疫系機能に異常が生じ、自分の体の一部分を異物とみなして攻撃してしまう病気です。円形脱毛症は、炎症反応を鎮めるために働くTリンパ球が、毛根を異物と間違えて激しく攻撃してしまうために発症すると考えられています。しかし、なぜその様な異常が生じてしまうのかは、まだ明らかになっていません。

    また、円形脱毛症は、橋本病に代表される甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、あるいは重症筋無力症などの各種自己免疫疾患に併発する場合があります。

    アトピー素因
    アトピー素因とは、アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎のいずれか)を持っていることを言います。アトピーの原因として、体質的なものと環境的なものが影響していると考えられており、円形脱毛症はアレルギー疾患を持つ人の方が、持たない人より多く発症していると言われています。アトピーも円形脱毛症も、「自己免疫疾患」と言う免疫異常が原因の一つとされています。

    精神的ストレスによる影響
    円形脱毛症の発症要因のひとつとして、「精神的ストレス」が挙げられます。精神的ストレスを受けると、ストレスに抵抗するために交感神経が活発に動きます。交感神経は、心肺を活発化し体温を上げます。このとき、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると、交感神経に異常をきたし、その結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり、毛根への栄養補給が行き届かなくなって脱毛が引き起こされると考えられます。

    また、ストレスは、毛根への栄養補給を妨げるだけでなく、「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因すると考えられています。

    出産後の女性ホルモン値の変化
    妊娠から出産後における女性ホルモンの減少も、原因の一つと言われています。妊娠中、体内の女性ホルモン値は通常の100倍以上に増加していますが、出産により一気に通常値に戻ります。女性ホルモンが減少すると抜け毛につながることから、毛周期との関係で産後3~4ヵ月後に抜け毛が多くなります。多くの場合は、頭髪全体のボリュームが減る産後脱毛となりますが、このときに、円形脱毛症になることがあります。

    さらにアトピー素因を持つ場合、それが加速されやすいと言われています。ホルモンバランスだけでなく、育児の忙しさによる食事の偏りや出産のストレスが加わることもあります。

    円形脱毛症の鍼灸治療

    : 脱毛部周辺に、細鍼にて1cm間隔で弾入程度の散鍼を行います。また、脱毛部全面に皮膚鍼、または梅花鍼で皮膚刺激を30秒から1分程度行います。

    : 脱毛部が1cm以内のときはその中央に半米粒大の艾で3~5壮、施灸します。脱毛部が2cmか、それを越えるときは脱毛部境界部に1cm間隔で単刺し、さらにその境界部に3~4箇所にわたり施灸を行います。また、脱毛部以外では、天柱または風池、身柱、肺兪、至陽、膈兪に単刺、天柱、大椎、身柱に半米粒大の施灸を3~5壮行います。

    その他

    皮膚疾患は大腸経が関係するので、円形脱毛症においても大腸経の治療を重視して実施すると効果的です。すなわち、曲池、合谷、内関に単刺、曲池に灸5壮を施灸します。なお、内関は大腸経ではありませんが、精神的ストレスが疑われるときは重要です。

  • 血液中の尿酸濃度が何らかの理由により標準値から著しく上昇すると、体温が低い足部などにおいて尿酸が血液中に溶解しきれずに、尿酸塩として結晶化して関節包内などに付着することが知られています。この状況に対して、白血球群のうち特に好中球が、尿酸結晶を異物と判断して攻撃を行うと言われています。このような好中球による尿酸結晶捕食活動が激化すると、その活動による過大なエネルギーや尿酸を抱え込んで死んだ好中球の残骸による影響などから、血管壁がダメージを受けて大きな炎症が発生します。同時に、当該部位周囲の神経組織をも刺激し、患者は「内側からの激痛」を感じることとなります。

    血中尿酸値の上昇とともに、逆に血中尿酸値の急降下も痛風発作の要因であることは広く知られています。そのため、痛風発作時における尿酸生成阻害剤や尿酸排出促進剤などの服用は、基本的に禁忌とされています。

    恒常的な高尿酸血症患者がすべて痛風発作を起こすわけではなく、そのメカニズムは完全には解明しきれていません。しかしながら、よく知られている発作のきっかけとしては、脱水症状に伴う急激な尿酸値の変動、物理的衝撃による結晶の剥落、不適切なタイミングでの尿酸コントロール薬の投与、激しすぎるスポーツなどが考えられています。

    高尿酸血症の患者でも痛風を起こさないケースは少なくありませんが、高尿酸血症が、腎障害(痛風腎)、尿路結石、虚血性心疾患など別の病気のリスク要因であることは忘れるべきではありません。

    痛風の症状としては、かなり急激に関節に激烈な痛みが起こり、発赤や発熱を伴います。尿酸の結晶は、冷えと高い比重のために重力に引かれて足部に沈着しやすく、痛風発作は足趾(特に母趾MP関節)に好発します。初発症状は足部であることが多いのですが、足関節、膝関節から発症することもあります。発作を繰り返すたびに症状は増悪します。発作の痛みは骨折の痛み以上といわれ、非常な苦痛を伴います。また、耳介などに痛風結節と呼ばれる皮下結節を作ることがあり、これが診断の助けとなります。X線では骨髄腫のように”punched out”と呼ばれる骨破壊像が見えます。痛風と鑑別を要する関節炎の疾患としては、関節リウマチ、変形性関節症、偽痛風があります。

    患者の90%以上が男性です。最近の疫学的研究によると、肝臓で尿酸が作られるのを促進し尿酸濃度をあげてしまうという理由から、アルコールは痛風のリスクを高めます。尿酸とは、プリン体と呼ばれる物質の代謝産物であり、プリン体を多く摂取すると高尿酸血症、さらには痛風の引きがねとなると考えられます。肉のみならず魚に含まれるプリン体も痛風のリスクを高めますが、野菜に含まれるプリン体(麦芽、豆類に多い)は高めることはありません。また、果糖は急速に代謝されてアシドーシスを引き起こし、この状態で尿酸が析出しやすくなります。近年、高尿酸血症に関わる遺伝子が日本を含む各国で発見されています。

    そのほか、精神的ストレスや水分摂取の不足も発症の引きがねとなります。特に水分摂取の不足に関しては、日常的に意識して水分を多めに取り、排尿によって尿酸を体外に出す事で血中尿酸濃度を低く保つことが勧められます。

     

    痛風の鍼灸治療

    腎機能の改善を目標に、尿酸の排出を高める目的で以下のような経穴に対し治療を行います。

    :腎兪、志室、足三里、陰谷

    :腎兪、太谿発作部位が第1中足指節関節であった場合には、大都、太白、行間に細鍼で浅刺します。
    疼痛の軽減には、腫脹部位に軽い触接鍼を行います。

    刺絡:阿是穴、太衝、内庭
    針を刺して数滴の血液を絞り出します。できたらカップを被せて陰圧抜缶療法を行うとより効果的です。