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2018年6月19日
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胃に関わる症状としては、胃が重く感じたり、胃が膨れて張った感じが主であり、ときに胃が痛んだり、また食欲不振、食味不良、悪心(吐き気)、胸焼け、曖気(げっぷ)、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)などの症状も加わります。しかし、これら全ての症状は、胃疾患だけに見られるものではなく、消化器全般(腸炎、慢性便秘、肝炎、胆石症、胆嚢炎、膵炎ほか、これら臓器の癌)はもとより、急性・慢性の熱性病、呼吸循環器・泌尿器系疾患でも現れます。特に悪性腫瘍や急性腹症に進む恐れのある疾患などは鍼灸不適用であり、病院にかかるべき症状です。
急性単純胃炎: 食事の不摂生で起こるものが最も多く、食欲不振、食味不良、胃部重圧感、胃部疼痛があり、さらに口渇、胸焼け、悪心、嘔吐などもあります。嘔吐物に血液や胆汁が混じることもあり、ときに頭痛、眩暈、倦怠感などの症状が現れることもあります。予後は良好です。
慢性胃炎: 急性胃炎から移行するもの、食習慣や煙草、薬物などが原因となるもの、貧血・糖尿病・胃潰瘍・胃癌などから二次的に生じるものがあります。主に心窩部の重圧感、膨満感、鈍痛などの症状があります。
胃神経症: 自律神経の異常が胃症状として表れるものと考えられています。食事とは無関係に腹痛を訴え、胸焼け、悪心を訴えますが嘔吐にまでは至りません。鍼灸が最も適する症例となります。
胃アトニー症: 胃筋無力症とも言い、通常、胃下垂と胃の運動低下が見られます。胃もたれや腹部膨満感があります。東洋医学では脾気下陥の証とみなしますが、これは脾気が内臓を上に持ち上げ吸収した栄養物を上に運ぶ作用があるためで、鍼灸では脾気を補う治療を行います。
鍼灸治療
脾経、胃経を中心に治療を行いますが、重要な経穴として脾兪、胃兪、中脘、足三里に軽い刺激の鍼、脾兪、中脘、足三里に灸を行います。
胃の重圧感、膨満感を訴え、触診にて胃部に硬結が認められる場合は胃倉、梁門、三陰交などに反応が出るので軽い鍼治療を行います。
胃部の鈍痛、呑酸、胸焼けなどが主症状の場合は、肝経と胆経の治療が効果的で、肝兪、膈兪、陽陵泉などを治療します。
食欲不振、食味不良が主症状の場合は、胃経と三焦経を治療します。すなわち、三焦兪、梁門、下脘、三陰交に鍼灸を施します。
倦怠感がある場合は、治療対象として腎経の腎兪、復溜、悪心がある場合は心包経の内関をそれぞれ選びます。
療養指示
胃疾患で重要なのは療養であり、食事の摂取時間、摂取量を適切にし、栄養のバランスがとれた食事を心がけ、偏食や暴飲暴食は慎まねばなりません。消化の悪い脂肪類、繊維類は減量し、アルコールや刺激物は禁止とします。胃症状のある場合には入浴や適当な運動も必要で、その人の体力に応じて運動のレベルを変えて行う必要があります。