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低血圧
2018年7月6日
血圧が正常範囲より低い状態が継続していて、頭痛、倦怠感、めまい感などを愁訴とするとき低血圧症と呼びます。ただ、血圧が低いだけでそれによって不快な症状をもたらさないものや、臓器循環の障害を伴わないものは体質性低血圧と呼び、治療対象にはなりません。治療対象になる低血圧症は以下のようなものです。
① 症候性低血圧症
血管系の疾患として心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋炎、心嚢炎、発作性頻脈症などがあり、呼吸系疾患では肺結核、肺気腫、気管支喘息があります。消化器系疾患では胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、胃癌、肝硬変などによる栄養失調でみられます。内分泌系疾患ではアジソン病、粘液水腫、重症の糖尿病などによる副腎機能低下でみられます。これらのうち一部は鍼灸治療の対象になりますが、急性の虚脱やショック症状がある低血圧症の場合は禁忌となります。
② 本態性低血圧症
原因の明確でない低血圧症のことで、女性に頻度が高く鍼灸治療の対象になります。
③ 起立性低血圧症
起立時に血圧の降下を起こすもので、自律神経系の異常が想定されます。
低血圧症の鍼灸治療
生体は適切な経絡・経穴に刺激を受けると、自分自身を本来の正常な生理状態に戻そうとする機能があります。そういう意味では高血圧症でも、低血圧症でも病んでいるところを改善するという治療方針は共通のものです。例えば冷え症の治療や消化器系の機能改善の治療と同時に低血圧症の治療が可能となります。
鍼: 天柱、膈兪、腎兪、中脘、関元、三陰交
灸: 天柱、腎兪、関元、三陰交
鍼灸併用も有効で、冷え症の治療ともども推奨されます。
冷え症の症状が強い場合は以下の治療穴を追加します。
鍼: 次膠、陰谷、復溜
灸: 太谿(米粒大にて10~15壮)
頭痛・頭重を伴う場合
鍼: 百会、風池、大杼、身柱
灸: 風池
めまいを伴う場合
鍼灸: 完骨
食欲不振・胃部膨満
鍼灸: 脾兪、胃倉、梁門、足三里
圧痛の顕著な穴には灸を追加します。
喘鳴・咳嗽
鍼: 肺兪、心兪、中府
細鍼で弱刺激で行います。
月経不順・性欲減退
鍼: 肝兪、関元兪、復溜
療養指示
食事時間や量、睡眠時間などにおいて規則正しい生活基準を守ることが重要です。適度な歩行、体操などの運動を行い、乾布摩擦など皮膚の鍛錬、血流の改善を計ります。
低血圧症は季節の変わり目に不調を起こしやすいものですが、早朝起床時に調整機能が働かないため、ゆっくり起き上がる習慣とめまいを起こしたときは一度横になり、そこからゆっくり起きる練習をします。
食事についてはバランスの取れたものを摂取し、偏食は避けるように注意してください。ビタミンの補給も重要で、食塩は多少多めが良いでしょう。
2018年7月6日
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