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2022年2月16日

  • 不妊の原因

    不妊症とは、夫婦が妊娠を希望して1年以上性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合を言います。原因は様々ですが、女性の側だけではなく男性側に不妊の原因がある確率も約半分あると言われています。これらの原因のうち、機能障害によるもの、および臓器などの組織の障害であっても治癒が可能なものが鍼灸の対象になります。

     

    女性側の原因

    排卵障害: 排卵がうまくおこらないことを排卵障害と言い、その原因は高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、卵胞刺激ホルモンの分泌低下、痩せすぎや太りすぎ、短期間の大きな体重変化、激しすぎる運動、ストレスなどがあります。

    子宮頸管の精子通過障害: 精子は子宮頸管、子宮、卵管を通って卵子までたどり着きますが、子宮頸管を精子が通過できないことを精子通過障害と言います。子宮頸管は排卵時期になると頸管粘液の分泌が多くなりますが、十分に分泌されない場合に精子の通過が妨げられてしまうことがあります。また、精子に対する抗体が分泌されて精子の通過が妨げられてしまうこともあります。

    卵管障害: 感染症等により卵管閉塞・狭窄、卵管周囲の癒着が起こり、卵管に卵子が取り込まれにくくなったり、精子が通れなくなったりすることを卵管障害と言います。先天異常として卵管欠損症等があります。

    子宮着床障害: 何らかの原因により受精卵が移動や着床できないことを子宮着床障害と言い、その原因は子宮に関する器質的原因と、自己抗体による免疫異常の原因とがあります。

    子宮内膜症: 子宮内膜が子宮以外の場所にできてしまうことを言い、特にチョコレート嚢胞は妊娠の妨げになる大きな原因と言われています。

     

    男性側の原因

    造精機能障害: 精巣やホルモン分泌異常により精子をうまくつくり出せないことを造精機能障害と言い、無精子症、乏精子症、精子無力症などがあります。

    精路通過障害: 何らかの原因により精子が外に出てこられないことを精路通過障害と言い、その原因は感染症による炎症、手術の際の精管損傷等による精管の欠損・狭窄・詰りなどがあります。

    性機能障害: 勃起不全、膣内射精障害のことを性機能障害と言い、その原因はストレスや動脈硬化、糖尿病などの病気です。

     

    不妊の鍼灸治療

    共通治療 刺激が過度にならない程度の刺鍼や灸を施す

    鍼灸: 腎兪、次膠、関元、曲骨

     

    原発性不妊 明かな臓器の病的障害がないにもかかわらず、不妊が2年以上継続しているような場合に共通治療に追加して施術

    鍼: 関元兪、水道

    灸: 水道

    温灸: 下腹部、腰仙部(みそ灸、にんにく灸、しょうが灸などの隔物灸が効果的)

     

    習慣性流産 共通治療に追加して施術

    鍼: 関元兪、交信

    灸: 命門

     

    切迫流産 共通治療に追加して鍼灸共に施術

    鍼: 水道

    灸: 然谷

     

    療養指示

    生活習慣、特に食生活について留意が必要です。妊娠に特に必要な栄養素であるたんぱく質、ビタミンA,B,E、鉄、亜鉛、カルシウム、コレステロールを積極的にとること、特に妊娠する1ヶ月前から摂取する必要があるのは葉酸です。

    また、体重が標準体重の120%以上ある場合には不妊症の相対リスクは2.1倍と高くなり、逆に標準体重の85%以下となった場合も相対リスクは4.7倍と高くなるとの報告があります。肥満女性では主に脂肪細胞で産生されるエストロゲンが過剰になりやすいこと、痩せすぎの女性では十分なエストロゲンが産生されにくいことが不妊の原因となるといわれています。