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股関節痛は、関節部の変形、炎症、骨・軟骨の病変、腫瘍などによって起こります。股関節変形症には形態異常、外傷、炎症、代謝性疾患で生じる二次性と、老化によって起こる一次性のものがあります。日本では多くの場合が、前者の二次性変形性股関節症と呼ばれるタイプで、多くが先天性股関節脱臼や発育性股関節形成不全が原因で発症します。症状は初め歩行時に股部、臀部、下肢の疲労感を訴え、続いて関節の痛みと可動域の減少が現れます。
慢性関節リウマチが全身に及んで股関節が痛むような変形性股関節症も二次性股関節症といえます。関節リウマチの原因は自己免疫疾患であると考えられています。経過はゆるやかで、多くの場合知らぬ間に発症し、その後はじわじわと異なる関節を侵して行き、左右の同じ部位の関節を侵していくのが特徴です。典型として、手足の指や肘、あるいは手首や足首などの小さな関節が最初に侵され、後に膝関節、肩関節、股関節などの大きな関節も侵されるようになります。発症した関節は痛みとこわばり感を伴います。この症状は、朝起きた時や侵された関節をしばらく動かさないでおいた後に特によく見られます。
股関節痛の鍼灸治療
鍼灸: 環跳、裏環跳、衝門、風市、陽陵泉
股関節後面痛(膀胱経)
鍼: 大腸兪、胞肓、承扶、委中
灸: 委中
股関節前面痛(胃経)
鍼: 髀関、伏兎、足三里
灸: 足三里
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肘トンネル(肘部管)症候群
尺骨神経が肘の内側の神経溝内にある部を肘トンネルと言いますが、この尺骨神経が圧迫されたり、牽引されることで神経の知覚、運動障害を起こします。以下のような原因があります。
- ・ 神経を固定している靱帯やガングリオンなどの腫瘤による圧迫
- ・ 加齢に伴う肘の変形
- ・ 子供のときの骨折による肘の変形
- ・ 野球や柔道などのスポーツ
麻痺の進行により症状が異なります。初期は小指と環指の一部にしびれた感じがでます。麻痺が進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と環指の変形が起きてきます。
診断は、肘の内側を軽くたたくと小指と環指の一部にしびれ感がはしります。肘の変形がある場合には、X線(レントゲン)検査で肘の外反変形や関節の隙間の狭いことがわかります。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
前腕の回内、回外運動、または手指運動を繰り返す頻度の激しいとき、上腕骨外側上顆部に疼痛が生じます。主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。 この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。
ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作(前腕の回内、回外運動)をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現し、握力が低下します。多くの場合、安静時の痛みはありません。
肘を伸ばしたまま検者の力に抵抗して手首を伸ばしてもらうトムゼンテストや、肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらうチェアテストのような試験で診断します。いずれの検査でも肘外側から前腕にかけての痛みが誘発されたら、テニス肘と診断します。
野球肘、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
肘の内側上顆という部分の障害で、使いすぎ症候群の代表的な病態です。円回内筋腱の付着部あるいは筋頭部に疼痛がある場合は内側の障害であり、肘の内側に過剰な負荷がかかることで靭帯が引っ張られ、腱や軟骨が損傷・断裂することで起こります。肘を伸展し手指を背屈した状態で固定し、これに抵抗して屈しようとするとき内側上顎部に痛みを引き起こします。
また、外側の障害として、骨と骨が衝突することで、骨や軟骨が剥がれたり痛んだりすることで発症する離断性骨軟骨炎があり、母、示指等の腱鞘炎や屈筋の抵抗運動で痛みが出ます。
投球時のフォロースルーの際に、肘の後方で骨同士が衝突することで、発症する肘頭疲労骨折や、柔道家、槍投げ選手には尺骨鈎状突起内側の上腕筋付着部に、剣道選手や家庭内で作業をする婦人、介護に携わる人などには上腕三頭筋の付着部に、それぞれ疼痛を起こすことがあります。
肘関節痛の共通鍼灸治療
鍼灸: 曲池、少海
補助治療
外側上顆部痛
鍼: 外側上顆部から下方に数鍼
灸: 圧痛点
内側上顆部痛
鍼: 内側上顆部から下方に数鍼
肘窩部痛
鍼: 肘窩部から上方に数鍼
肘頭部痛
鍼: 肘頭部から上方に数鍼
療養指示
急性の肘関節の疼痛の場合は運動を休止することが重要です。慢性的なものでも運動量を減らすか休まないと快方に向かいません。リウマチの場合は治療期間を年単位で予定しなければなりません。関節部に炎症がなければ保温するのが望ましいです。
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不妊の原因
不妊症とは、夫婦が妊娠を希望して1年以上性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合を言います。原因は様々ですが、女性の側だけではなく男性側に不妊の原因がある確率も約半分あると言われています。これらの原因のうち、機能障害によるもの、および臓器などの組織の障害であっても治癒が可能なものが鍼灸の対象になります。
女性側の原因
排卵障害: 排卵がうまくおこらないことを排卵障害と言い、その原因は高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、卵胞刺激ホルモンの分泌低下、痩せすぎや太りすぎ、短期間の大きな体重変化、激しすぎる運動、ストレスなどがあります。
子宮頸管の精子通過障害: 精子は子宮頸管、子宮、卵管を通って卵子までたどり着きますが、子宮頸管を精子が通過できないことを精子通過障害と言います。子宮頸管は排卵時期になると頸管粘液の分泌が多くなりますが、十分に分泌されない場合に精子の通過が妨げられてしまうことがあります。また、精子に対する抗体が分泌されて精子の通過が妨げられてしまうこともあります。
卵管障害: 感染症等により卵管閉塞・狭窄、卵管周囲の癒着が起こり、卵管に卵子が取り込まれにくくなったり、精子が通れなくなったりすることを卵管障害と言います。先天異常として卵管欠損症等があります。
子宮着床障害: 何らかの原因により受精卵が移動や着床できないことを子宮着床障害と言い、その原因は子宮に関する器質的原因と、自己抗体による免疫異常の原因とがあります。
子宮内膜症: 子宮内膜が子宮以外の場所にできてしまうことを言い、特にチョコレート嚢胞は妊娠の妨げになる大きな原因と言われています。
男性側の原因
造精機能障害: 精巣やホルモン分泌異常により精子をうまくつくり出せないことを造精機能障害と言い、無精子症、乏精子症、精子無力症などがあります。
精路通過障害: 何らかの原因により精子が外に出てこられないことを精路通過障害と言い、その原因は感染症による炎症、手術の際の精管損傷等による精管の欠損・狭窄・詰りなどがあります。
性機能障害: 勃起不全、膣内射精障害のことを性機能障害と言い、その原因はストレスや動脈硬化、糖尿病などの病気です。
不妊の鍼灸治療
共通治療 刺激が過度にならない程度の刺鍼や灸を施す
鍼灸: 腎兪、次膠、関元、曲骨
原発性不妊 明かな臓器の病的障害がないにもかかわらず、不妊が2年以上継続しているような場合に共通治療に追加して施術
鍼: 関元兪、水道
灸: 水道
温灸: 下腹部、腰仙部(みそ灸、にんにく灸、しょうが灸などの隔物灸が効果的)
習慣性流産 共通治療に追加して施術
鍼: 関元兪、交信
灸: 命門
切迫流産 共通治療に追加して鍼灸共に施術
鍼: 水道
灸: 然谷
療養指示
生活習慣、特に食生活について留意が必要です。妊娠に特に必要な栄養素であるたんぱく質、ビタミンA,B,E、鉄、亜鉛、カルシウム、コレステロールを積極的にとること、特に妊娠する1ヶ月前から摂取する必要があるのは葉酸です。
また、体重が標準体重の120%以上ある場合には不妊症の相対リスクは2.1倍と高くなり、逆に標準体重の85%以下となった場合も相対リスクは4.7倍と高くなるとの報告があります。肥満女性では主に脂肪細胞で産生されるエストロゲンが過剰になりやすいこと、痩せすぎの女性では十分なエストロゲンが産生されにくいことが不妊の原因となるといわれています。
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関節リウマチとは
ウィルスや細菌など異物が体外から侵入してくると、体内ではこの異物を攻撃し排除するしくみが起動します。これを免疫といいます。しかし、何らかの原因で免疫の機能に異常が起こると、体の中のある成分を異物とみなして自分自身を攻撃することがあります。 これを自己免疫疾患と言い、それが関節で起きて炎症が続くと関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して骨や軟骨を破壊してしまいます。やがて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。
関節リウマチが起こりやすい関節
関節リウマチの典型的な症状は、いくつかの関節が左右対称に腫れて痛むことです。関節リウマチは、首の関節以外の背骨の関節には起きませんが、多くが手首や手指関節を侵します。それらはこぶしの関節であったり、指の真ん中の関節であったりします。また、足の指の付け根などの小さな関節のほか、足首、肩、ひじ、ひざ、股関節などの関節に起こることもあります。腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。
関節に起こる症状
・朝のこわばり
朝、目覚めたときに手や足の指などの関節が動かしにくく感じることがあります。これは、睡眠により長時間関節を動かしていないことによるもので、関節を動かすことで緩和されます。朝のこわばりは、病状が進行するにつれ持続時間も長くなりやすい傾向にあります。
・関節炎
関節に痛みや腫れが生じたり、熱をもっているように感じたりすることがあります。軽快と再燃を繰り返します。リウマチの関節炎は複数の関節で起きる「多発性」であり、左右対称に痛みが起きる「対称性」であり、さらに全身のあちこちに現れる「移動性」です。
・関節変形
関節炎が進行すると、関節の軟骨や骨が破壊され特有の関節変形が起こります。
- 関節に痛みが生じたり、熱をもって腫れたりする。
- 関節の痛みや腫れが左右対称に現れる。
- 多くの関節が同時に腫れたりする。
- 37℃台の微熱や、倦怠感、食欲不振が続く。
関節リウマチの現状
現在、全国で関節リウマチに悩む方は70万人とも100万人ともいわれ、その数は高齢化にともない年々増加する傾向にあります。男女の割合は1対4と圧倒的に女性に多く、発症年齢は30~50歳代、とくに40歳代がもっとも多いですが、60歳以降に発症する方も少なくありません。
早期発見、早期治療
近年、新薬の開発などでリウマチ治療は劇的に改善され、多くで早期の治療が奏功し、痛みや腫れがコントロールできるようになりました。そして、コントロールができれば関節が壊されていくのも防げるようになり、関節破壊により手術をするようなケースもかなり少なくなっています。
関節リウマチの鍼灸治療
関節変形が起きた状態では鍼灸は対処できませんが、早期に投薬治療と並行して鍼灸療法を行うのは、炎症を早く消失させ痛みを軽減するのに効果的ですから、積極的に行うことが勧められます。
手の関節の鍼灸治療の場合は以下のとおりです。痛みが強い場所には施灸を行います。
鍼灸: 陽池、陽谷、曲池
全身治療の場合は、副腎皮質ホルモンの分泌を促進し、内分泌系の調整を行うため以下のツボを使用します。
鍼: 三焦兪、腎兪、風池
灸: 腎兪
療養指示
痛みのため安静を続ける結果、血行障害によって筋力の低下や筋萎縮を生じ、また、関節の可動域が小さくなっていく傾向があります。これを防止するためには、歩行など負担の少ない有酸素運動や筋力アップの運動を行うことが勧められます。ただし、運動後に痛みが1時間以上続く場合は運動量が多すぎると判断します。運動は生涯にわたる健康を増進し、関節への負担を減らします。
入浴は38~40℃で20分間ほど行うのがよいでしょう。高温短時間浴は避けねばなりません。ただし、関節の発熱が強いときは入浴せず、シャワーで済ませなければなりません。また、入浴の翌日に痛みが増すようであれば、入浴は止めた方が良いでしょう。