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  • 五十肩(四十肩)は別名「肩関節周囲炎」とも呼ばれています。肩周辺の老化現象によるものと言われていますが、患者は40~60歳の中年がほとんどであり、若年者にも高齢者にも少ないという状況です。発症の原因も治癒の原因もまだ明確にはなっておらず、症状が軽症で終わるか重症化するかの仕組みもはっきりしていません。

    五十肩は最初、肩関節付近に鈍痛がおこり、腕の可動範囲が狭くなります。次第に痛みは鋭くなり、腕を急に動かすと激痛が走るようになり、痛みのために腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こります。生活にも支障をきたすようになり、重症化すると、洗髪、髪をとかす、歯磨き、炊事、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つ、排便後の尻の始末などが不自由となり、日常生活に大きな困難をもたらします。

    一般に、初期の症状が始まってからピークを迎えるまで数ヵ月を要し、ピークが数週間続いた後は次第に和らいできます。個人差がありますが、鋭い痛みが感じられなくなるまでに半年前後、さらにボールなど物を投げられるようになるまでに1年前後かかる場合があります。しかし、その間関節が固着したり筋が拘縮すると生活の困難さが増し、大幅なQOLの低下は免れません。

    五十肩は、鍼灸治療が効果的と言われています。ある調査によると、鍼灸で80~90%が改善したと言う報告があります。ただし、その調査では治療回数は3~9回、治療日数は13~50日となっています。

    鍼灸治療では肩周囲の経穴(ツボ)に鍼灸を施しますが、更に痛いところが前面なのか後面なのか真横なのか、あるいは全てが痛いのかによりそれぞれの経絡に沿った治療穴を追加します。また、肩の痛みが増すところに腕を上げていきその角度で鍼灸を行います。そうすると痛みが軽減するので徐々に可動域を拡げていきます。いずれにしてもその場ですぐ直るものではなく、ある程度の長期治療が必要となります。

     

     

    五十肩の共通鍼灸治療

    鍼: 巨骨、臑兪、臑会、肩井、膏肓、曲池
    灸: 臑会、曲池、肩井、膏肓

    補助鍼灸治療

    上腕三頭筋長頭痛
    鍼: 消濼、天宗、下肩膠、四瀆、(下肩髃)
    上腕二頭筋長頭痛
    鍼: 肩前、天府、(孔最)
    烏口突起部痛
    鍼: 烏口、天泉
    項背痛
    鍼: 肩外兪

     

    療養指示

    関節の運動制限の回復には、関節の自己運動が必要です。過度な運動に至らない範囲で、可動域を徐々に拡げられるよう運動するのが良いでしょう。また、疼痛患部は冷たい湿布よりも、ホッカイロなどで持続的な保温に努めるのが効果的です。就寝時に腕が肩を引っ張って痛みが増す場合には、タオルなどで腕が下がらぬよう台を作ると痛みの緩和に役立ちます。

     

     

  • あるアンケート調査によると、「肩こりがある」と答えた人は9割以上にもなり、特に女性は、60歳以上の98%を筆頭にあらゆる世代で90%以上の方が「ある」と答えています。その原因として考えられるのは、1位「長時間の同じ姿勢」(23.1%)、2位「パソコン・携帯の使用」(20.1%)、3位「運動不足」(16.4%)という結果でした。しかし、肩こり対策を十分にとっている方は決して多くありません。自分で肩を揉んだりストレッチをしている方は全体の30%前後であり、マッサージや病院に行く方は15%程に過ぎません。

    現代社会人は、会社でパソコンを1日中凝視し、通勤の行き帰りにはずっと携帯(スマホ)を操作しているという状況ですから、肩こりがない方がおかしいくらいです。

    肩こりは慢性化すると自覚症状が薄れていき、肩こりはないと思っている方も多いものです。しかし慢性的肩こりは全身の血液の流れをそこで滞留させているわけですので、知らず知らずのうちに多くの不定愁訴を作ってしまっています。

    また、肩こりは、上記のようなパソコン・携帯電話依存によるものだけではありません。ストレスなどによる「自律神経失調」が原因の場合も多く見受けられます。ス トレスを受けると交感神経が優位となり、血管が収縮し、肩こりが悪化したり、緊張性頭痛を招いたり、ホルモンバランスの影響で月経不順やめまい、ほてりを 感じることもあります。こんなとき病院で検査を受けても、たいていデータの異常は見つかりません。

    それに対し、鍼灸あん摩マッサージ指圧には自律神経のバ ランスを整える、すなわち副交感神経を優位にする働きがあります。鍼灸やあん摩マッサージ指圧を受けると全身が身体的にリラックスすると同時に精神的にもリラックスするのはこの働きによるものです。

    肩こりの治療は、決して肩だけを対象として行うのではなく、近くの首筋や背中はもちろん、手や足にまで視野に入れて治療する必要があります。それは、肩を通っている経絡が足や手にも通じているからです。例えば、肩を通る経絡(ツボの経路)は、肺経、大腸経、小腸経、および三焦経などがありますが、これらはいずれも手からつながっています。また両側の肩甲骨の間は膀胱経と言う経絡が通っていて、これは足につながっています。極論すると、肩こりを手足のツボで直すこともあるわけです。さらに肩こりは首筋にも影響するので、頭との境界線である天柱、風池、完骨などを治療します。

    東洋医学では、肩こりの治療に限らず全身治療から入り、各所に見られる問題点に対し十分に対処した上で最後に局所の治療を行います。治療には経絡理論に則った「本治法」と呼ばれる全身のバランスをとる治療を含みます。それに対し局所を対症療法的に行うのを「標治法」と呼んでいます。この両方の治療法を症状により使い分けて行えるのも東洋医学の特長の一つです。本治法を行うことにより治療効果が長く継続すると言われています。

    肩こりがひどくてつらい方ばかりでなく、身体の不調を訴える方は一度鍼灸あん摩を受けてみてはいかがでしょうか。

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