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不妊の原因
不妊症とは、夫婦が妊娠を希望して1年以上性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合を言います。原因は様々ですが、女性の側だけではなく男性側に不妊の原因がある確率も約半分あると言われています。これらの原因のうち、機能障害によるもの、および臓器などの組織の障害であっても治癒が可能なものが鍼灸の対象になります。
女性側の原因
排卵障害: 排卵がうまくおこらないことを排卵障害と言い、その原因は高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、卵胞刺激ホルモンの分泌低下、痩せすぎや太りすぎ、短期間の大きな体重変化、激しすぎる運動、ストレスなどがあります。
子宮頸管の精子通過障害: 精子は子宮頸管、子宮、卵管を通って卵子までたどり着きますが、子宮頸管を精子が通過できないことを精子通過障害と言います。子宮頸管は排卵時期になると頸管粘液の分泌が多くなりますが、十分に分泌されない場合に精子の通過が妨げられてしまうことがあります。また、精子に対する抗体が分泌されて精子の通過が妨げられてしまうこともあります。
卵管障害: 感染症等により卵管閉塞・狭窄、卵管周囲の癒着が起こり、卵管に卵子が取り込まれにくくなったり、精子が通れなくなったりすることを卵管障害と言います。先天異常として卵管欠損症等があります。
子宮着床障害: 何らかの原因により受精卵が移動や着床できないことを子宮着床障害と言い、その原因は子宮に関する器質的原因と、自己抗体による免疫異常の原因とがあります。
子宮内膜症: 子宮内膜が子宮以外の場所にできてしまうことを言い、特にチョコレート嚢胞は妊娠の妨げになる大きな原因と言われています。
男性側の原因
造精機能障害: 精巣やホルモン分泌異常により精子をうまくつくり出せないことを造精機能障害と言い、無精子症、乏精子症、精子無力症などがあります。
精路通過障害: 何らかの原因により精子が外に出てこられないことを精路通過障害と言い、その原因は感染症による炎症、手術の際の精管損傷等による精管の欠損・狭窄・詰りなどがあります。
性機能障害: 勃起不全、膣内射精障害のことを性機能障害と言い、その原因はストレスや動脈硬化、糖尿病などの病気です。
不妊の鍼灸治療
共通治療 刺激が過度にならない程度の刺鍼や灸を施す
鍼灸: 腎兪、次膠、関元、曲骨
原発性不妊 明かな臓器の病的障害がないにもかかわらず、不妊が2年以上継続しているような場合に共通治療に追加して施術
鍼: 関元兪、水道
灸: 水道
温灸: 下腹部、腰仙部(みそ灸、にんにく灸、しょうが灸などの隔物灸が効果的)
習慣性流産 共通治療に追加して施術
鍼: 関元兪、交信
灸: 命門
切迫流産 共通治療に追加して鍼灸共に施術
鍼: 水道
灸: 然谷
療養指示
生活習慣、特に食生活について留意が必要です。妊娠に特に必要な栄養素であるたんぱく質、ビタミンA,B,E、鉄、亜鉛、カルシウム、コレステロールを積極的にとること、特に妊娠する1ヶ月前から摂取する必要があるのは葉酸です。
また、体重が標準体重の120%以上ある場合には不妊症の相対リスクは2.1倍と高くなり、逆に標準体重の85%以下となった場合も相対リスクは4.7倍と高くなるとの報告があります。肥満女性では主に脂肪細胞で産生されるエストロゲンが過剰になりやすいこと、痩せすぎの女性では十分なエストロゲンが産生されにくいことが不妊の原因となるといわれています。
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関節リウマチとは
ウィルスや細菌など異物が体外から侵入してくると、体内ではこの異物を攻撃し排除するしくみが起動します。これを免疫といいます。しかし、何らかの原因で免疫の機能に異常が起こると、体の中のある成分を異物とみなして自分自身を攻撃することがあります。 これを自己免疫疾患と言い、それが関節で起きて炎症が続くと関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して骨や軟骨を破壊してしまいます。やがて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。
関節リウマチが起こりやすい関節
関節リウマチの典型的な症状は、いくつかの関節が左右対称に腫れて痛むことです。関節リウマチは、首の関節以外の背骨の関節には起きませんが、多くが手首や手指関節を侵します。それらはこぶしの関節であったり、指の真ん中の関節であったりします。また、足の指の付け根などの小さな関節のほか、足首、肩、ひじ、ひざ、股関節などの関節に起こることもあります。腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。
関節に起こる症状
・朝のこわばり
朝、目覚めたときに手や足の指などの関節が動かしにくく感じることがあります。これは、睡眠により長時間関節を動かしていないことによるもので、関節を動かすことで緩和されます。朝のこわばりは、病状が進行するにつれ持続時間も長くなりやすい傾向にあります。
・関節炎
関節に痛みや腫れが生じたり、熱をもっているように感じたりすることがあります。軽快と再燃を繰り返します。リウマチの関節炎は複数の関節で起きる「多発性」であり、左右対称に痛みが起きる「対称性」であり、さらに全身のあちこちに現れる「移動性」です。
・関節変形
関節炎が進行すると、関節の軟骨や骨が破壊され特有の関節変形が起こります。
- 関節に痛みが生じたり、熱をもって腫れたりする。
- 関節の痛みや腫れが左右対称に現れる。
- 多くの関節が同時に腫れたりする。
- 37℃台の微熱や、倦怠感、食欲不振が続く。
関節リウマチの現状
現在、全国で関節リウマチに悩む方は70万人とも100万人ともいわれ、その数は高齢化にともない年々増加する傾向にあります。男女の割合は1対4と圧倒的に女性に多く、発症年齢は30~50歳代、とくに40歳代がもっとも多いですが、60歳以降に発症する方も少なくありません。
早期発見、早期治療
近年、新薬の開発などでリウマチ治療は劇的に改善され、多くで早期の治療が奏功し、痛みや腫れがコントロールできるようになりました。そして、コントロールができれば関節が壊されていくのも防げるようになり、関節破壊により手術をするようなケースもかなり少なくなっています。
関節リウマチの鍼灸治療
関節変形が起きた状態では鍼灸は対処できませんが、早期に投薬治療と並行して鍼灸療法を行うのは、炎症を早く消失させ痛みを軽減するのに効果的ですから、積極的に行うことが勧められます。
手の関節の鍼灸治療の場合は以下のとおりです。痛みが強い場所には施灸を行います。
鍼灸: 陽池、陽谷、曲池
全身治療の場合は、副腎皮質ホルモンの分泌を促進し、内分泌系の調整を行うため以下のツボを使用します。
鍼: 三焦兪、腎兪、風池
灸: 腎兪
療養指示
痛みのため安静を続ける結果、血行障害によって筋力の低下や筋萎縮を生じ、また、関節の可動域が小さくなっていく傾向があります。これを防止するためには、歩行など負担の少ない有酸素運動や筋力アップの運動を行うことが勧められます。ただし、運動後に痛みが1時間以上続く場合は運動量が多すぎると判断します。運動は生涯にわたる健康を増進し、関節への負担を減らします。
入浴は38~40℃で20分間ほど行うのがよいでしょう。高温短時間浴は避けねばなりません。ただし、関節の発熱が強いときは入浴せず、シャワーで済ませなければなりません。また、入浴の翌日に痛みが増すようであれば、入浴は止めた方が良いでしょう。
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VDT症候群とは
VDT症候群とは、パソコンや携帯電話などのVDT(Visual Display Terminals)機器の長時間作業を原因として生じる心身の異常です。即ち、眼や身体に支障をきたしたり、抑うつ状態になる、不安感がつのるなどの精神的な症状が生じます。スマートフォンや携帯ゲームなどの過剰な使用も原因になります。また、自宅でのテレワークに伴いパソコンを使った作業が増加、これらIT産業の発達に伴い近年、大きな社会問題となっている病気です。
- 眼症状では、集中して凝視し続ける作業でまばたきの回数が少なくなり角膜が乾燥するため、痛みを感じたりかすみがかかったりする、いわゆるドライアイになりやすいのです。その他、目の疲れ(眼精疲労)、視力低下などをきたします。
- 身体の症状としては、同じ姿勢で作業を続けることから、首、肩、腰のコリや背中の痛みが起こります。また頭痛や吐き気を伴うこともあります。さらにストレス環境による自律神経の失調は、頚部や肩甲骨周囲の筋を異常に緊張させ、より強い頚・肩コリや頭痛の要因になると考えられます。交感神経優位で血行が不良となるためこれらの症状がさらに増強し悪循環を引き起こします。
- 心の症状としては、ストレスから心身症や神経症に発展します。自宅でのテレワークが増えて、他人と交わることのない孤独な作業から、うつ状態になることもあります。
「平成20年技術革新と労働に関する実態調査」の結果によると、以下のとおり多くの方がいろいろな症状を訴えています。
VDT症候群の治療
パソコン作業の際、自律神経中枢は脳を交感神経優位に維持しながら多種多様の仕事をこなします。しかし、画面を見るなど近くのものを注視するときには、副交感神経の刺激を毛様体筋に送らなければなりません。交感神経を優位にしながら、目に対してだけは副交感神経の刺激を出し続けなければならない矛盾が、眼精疲労の原因だと言われています。眼精疲労を伴う症状は、肩こり、頭痛、頭重感、全身倦怠、のぼせやふらつきなどですが、これらは自律神経失調症と似ています。
交感神経も副交感神経も、根本の部分は脊髄の中にあるため、胸椎と腰椎を刺激することで、交感神経と副交感神経に影響を与えることができます。しかも、脊柱の両脇には交感神経が通るパイプのようなものがあり、内臓につながるツボも並んでいるため、このラインを刺激することで交感神経と副交感神経のバランスを取り戻すことができます。
私どものマッサージ・指圧、および鍼灸は、胸椎や腰椎の棘突起(背骨の中央にある大きな突起)の両側を揉捏、指圧したり、鍼や灸で内部の筋や神経を刺激する手技ですので、自律神経のバランスの乱れを整え、正常な状態に戻すことが可能です。
- 眼精疲労の治療については、「眼精疲労・仮性近視」の項目をご参照ください。
- 姿勢の問題から生じることが多い頸、肩のコリは、頚椎上部の筋肉が硬直しそこを走る血管や神経を圧迫するので、脳への血流を阻害し頭痛だけでなく、うつ病やパニック障害などの精神症状も併発しやすいのです。鍼灸による治療では、頚椎上部の筋肉を緩めることでこれらの症状をとることができます。頸、肩、背中のコリの治療については、「頚椎症・肩コリ・背中のハリ」の項目をご参照ください。
VDT症候群の予防
現代社会においては、労働衛生上でもその管理が重要とされています。厚生労働省では、VDT作業をする人の心身の負担を軽減し、VDT作業を支障なく行うための「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を平成14年に策定。作業環境管理、作業管理、健康管理などに関して細かく基準を定めています。
◎作業環境
・ 室内は、著しい明暗の対照がなく、まぶしさを生じさせないようにする
・ 太陽光が入る場合は、窓にブラインドやカーテンを設ける
・ 反射防止型ディスプレイを用いる
・ ディスプレイの位置、前後の傾き、向きを調整してグレア(映り込み)を防止する
◎作業時間
・ 連続作業時間が1時間を超えないようにする
・ 連続作業と連続作業の間に、10~15分の休止時間を設ける
・ 連続作業時間内に1~2回程度の小休止を設ける
◎作業姿勢
・ 椅子に深く腰をかけてしっかり背もたれに当て、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする
・ 40cm以上の視距離が確保できるようにする
・ ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにする
